沼田町のマチナカからクルマを走らせること約10分。見渡す限りの田園風景が広がる一帯に、真新しい一軒家が佇んでいます。看板には「上村農場」の文字。インターホンに応え、ドアのすき間から顔をのぞかせたのは上村恵美子さん。小柄ながら農家の嫁として農作業を手伝いつつ、三姉妹を育てているパワフルなお母さんです。ご主人との結婚を機に20年ほど前に沼田町に移住しました。
今は二人目のお子さんから
保育園料が無料なんですよ~!
- Q.最初から失礼な質問ですが、とても3人のお子さんを育てられているとは思えない雰囲気。本当ですよね?
- 上村さん:イヤイヤ、お上手なんだから(照)。ただ結婚が早かっただけ。
- Q.ご主人とはどこで出会ったんですか?
- 上村さん:え~!そんなことまで話すの!?私は函館市出身。小さいころから家や建築が好きで、高校卒業後は市内の大手ハウスメーカーの社員として働いていました。その職場で出会ったのが主人。農家の息子ということもあって、Uターン前提で就職したみたい。
- Q.ということは、恵美子さんも最初から沼田町に来る覚悟があったんですね。
- 上村さん:はい…そうですね…。
- Q.ちょっと含みがありそうな間が。実際はどうですか?
- 上村さん:実は都会に出たい派だったんです。函館市に住んでいても「田舎だな~」なんて思っていました。なので、結婚を機に沼田町に移ってきて、最初はビックリというかショックというか。だって、当時はコンビニすらありませんでしたから。いかに自分が都会に住んでいたか思い知りました(笑)。
- Q.正直、イヤにはならなかったのでしょうか?
- 上村さん:慣れない農作業を手伝うようになって必死でしたし、じきに一人目の子どもを授かりましたし、それどころじゃなくて(笑)。でも、子どもが生まれてからは医療費が無料(中学卒業まで)だったり、二人目の保育園料は半額だったり、自然の中で子育てをして、なおかつ優遇してもらえるのが良いと思いました。今は顔見知りばかりなので、まちぐるみで子どもを見てもらえる感覚ですし、都会よりずっと安心かなって。
- Q.今は二人目からは保育園料が無料なんです…。
- 上村さん:え?そうなの?聞かなきゃ良かった(笑)。損した気になるじゃない。
ご主人のリラックスした表情に、
家を建てて良かったとシミジミ。
- Q.ところで移住からずっとこの場所に?
- 上村さん:しばらくはマチナカの町営住宅で暮らしていました。子どもたちが大きくなって部屋も手狭になってきたころ、離農する先輩農家さんから農地と家を買って、ソコ(現住まいの奥にある家)に住み始めたんです。ただ、築50年くらいの古い家だったので、冬はすきま風が寒くて。
- Q.それで家を建てたんですね。
- 上村さん:はい、お盆前に完成しました。今は中学生までの子ども一人につき50万円の交付がいただけますし、30歳代の新築奨励金でも130万円のサポートがあるなどなど…コレを活用しない手はないと。といっても主人が奨励金の手続きをすべてしてくれたので、受け売りなんですが(笑)。
- Q.家づくりでこだわった部分は?
- 上村さん:聞きます?聞いちゃいます?アール(曲線)になっている壁とか、ニッチ(モノを飾れるように壁面をくぼませること)を造るとか、ずっとずっと夢だったんです。子ども部屋には黒板を取り付けたり、景色の良い場所にはめ殺しの窓を設置して絵画みたいにしたり。私も娘たちもカワイイ仕上がりに満足ですし、何より主人が喜んでくれたのが一番。前の古い家ではどこか体が休まらなかったようですが、今は忙しい農繁期でもリビングで子どもたちと団らんしながら、リラックスした表情を見せています。それだけでも、建てて良かったと思えます。
- Q.家族の絆も深まったわけですね。
- 上村さん:そうですね…。
- Q.何か問題があるんですか?
- 上村さん:イヤイヤ、これは前からなんですが、上の娘は滝川高校に通っているので朝が早いし、部活がある日は夜も遅くて大変そうだなって。ただ、沼田町には高校がない代わりに通学の手当てをいただけるのは助かります。長女には何とか若さで乗り切ってもらうしかないかな(笑)。
- Q.滝川高校といえば進学校じゃないですか。
- 上村さん:沼田町は小中連携の一貫教育にも力を入れているから、学力は全国平均を上回っているみたいです。なので、長女のお友だちもけっこう滝川高校に進学しています。三女は小学6年生なんですけど、次女のいる中学校で勉強することもあるんですよ。
上村さんは町内の食堂の
「味処やま田」がお気に入り!
- Q.農閑期の冬場は何をしているんですか?
- 上村さん:主人はスキーが好きだから指導員として働いています。たま~に家族でスキー場に行くんです…けど、私は滑れないからイヤだっていっているのに(苦笑)。
- Q.函館市は雪が少ないですからね。もう慣れましたか?
- 上村さん:そりゃあ、20年近くもこのまちにいたら慣れますよ。冬の運転は少し怖いけれど、近隣のまちに比べて除雪がキレイだから町内は走りやすいですね。
- Q.冬はママ友と出かける余裕もありそうですね。
- 上村さん:そうそう、ランチをご一緒しています!「ほろしん温泉ほたる館」内のレストランとか、「味処やま田」とか、最近は「喫茶モラン」でベーグルを食べたりとか…あとは「味処やま田」とか。
- Q.「味処やま田」さん、二回いいましたよ。
- 上村さん:ラーメンがお気に入りなんです(笑)。
- Q.お話ししていると、とっても幸せそうに感じます。
- 上村さん:ありがとうございます。まちには待望の新しいスーパーマーケットもできたし、暮らしに不便は感じないようになりました。それに、今はネット通販もあるから家具も一通りそろえられたんですよね。
- Q:今後の夢は何ですか?
- 上村さん:娘たちには自分の好きな道を歩んでほしいと思う一方、三人のうち誰かがお婿さんでもつかまえて、農家を継いでくれたら最高(笑)。主人の代で終わらせるなんてモッタイナイから…なんて娘たちが読んだらプレッシャーですから、ココまでにしておきますね!
- Q.最後に移住を考えている方にアドバイスをお願いします!
- 上村さん:私の時代でも子育てに手厚いと感じましたが、今はますますサポートが進んでいるようです。こども園や学童保育もそろっていますし、預け時間などの融通がききやすいほう。自分も気持ちにゆとりを持って子育てできたので、娘たちも伸び伸びと成長していけたと思います。子どものことを第一に考えるなら、沼田町は超オススメです!